絶対に諦めない。どんな境遇にあっても感謝の気持ちを忘れない。常に自分で自分を見つめ直す。これが家訓です。/野々村精三さん野々村建設株式会社代表

山県市青波にある野々村建設株式会社。社長の野々村精三さんは生まれも育ちも山県市。地元を大切に想い多くの人の暮らす住まいをつくり続けてきた野々村さんにこれまでの道のりや仕事にかける想いをお伺いしました。

昔ながらの手法で建てた木と漆喰の家

広いスペースの玄関アプローチ、その正面にある漆喰の壁には繊細な桜のモチーフがレリーフのように施されています。「実はこの家は、次男の太樹がたった一人で昔ながらの手法で建てた、木と漆喰の家(手造り)なんです」と穏やかな口調で話すのは野々村建設株式会社代表の野々村精三さん。自然素材の木と、いきもののように呼吸する漆喰の壁は室内の空気環境をきれいにする働きがあり、健康的に暮らしていけるのです。

この家はモデルハウスとしてお客様に公開されています。実際に大樹さんが住んでいるので生活感があり、その上で細かな問題点にも気が付くことができるとの考え方です。お客様に建物の良し悪しを体感していただき、住まいづくりに違う角度から着目いただけると大変好評なのだそうです。野々村建設株式会社が1番大事にしている『お客様と現場の距離を大切に』という会社のモットーと共通しており野々村さんの姿勢でもあります。

野々村さんは生まれも育ちも山県市です。兄弟が上から順に出て行ってしまい、子ども心に「将来誰もこの地にいなくなってしまう。三男の自分が、田畑を耕してこの地を守ってきたご先祖様に敬意を払いこの地を守る」と決心したそうです。大工という職人の道を選び、仕事の他に耕作し家族を養い、地域の付き合いも怠らず日々を暮らすその生活は睡眠時間を削り体重も減り必死だったそうです。そして一級建築士、宅地建物取引士等様々な資格を独学で学び取得しました。

野々村さんは背負っているものに対して身を粉にして働き『ここを超えれば自分の夢が叶う』と信じて、現在創業51年になる野々村建設を立ちあげました。「もちろん周りの協力あってのことです。生きることは24時間働くことだと子ども達に常々言っています。『絶対に諦めない!どんな境遇にあっても感謝の気持ちを忘れない。そして常に自分で自分をみつめ直す』これは野々村家の家訓となっています。」

山県市をもっと住みよいまちに!

モデルハウスをたった一人で建てた次男の太樹さんは高校を卒業後に郡上八幡で大工の修行を為し、一級建築大工技能士を取得しましたが、体調を崩したことをきっかけに、家業の野々村建設株式会社に入りました。モノ作りが大好きな太樹さんは大工経験が豊富で現場を知り尽くしているため単なる営業ではなく的確なプランニングを得意とし、誠心誠意お客様のニーズに応えています。

また、家を建てるときに出る端材で、棚やコースター等の作品を作り、会社の広報も兼ねてマルシェなどで販売しているとのこと。県産材をもっと知って欲しいと『作品は地産ぎふの木で製作しています。材質は柔らかく、温もりがあり、肌触りがやさしいのが特徴です』との説明に、野々村建設株式会社の木に対する思いが感じられました。

太樹さんは自社だけではなく山県市全体を元気にしたいという気持ちから、プライベートの時間にも様々なことにチャレンジしています。例えば、山県市の空き家対策の為のリノベーション企画など。

「山県市は名古屋からのアクセスが良く、とても便利な場所。今後も今の職種を生かして、リノベーションのワークショップや、ぎふの木を使ったイベントを通して山県市の良さをアピールしたいですね。それと森林、川や山などの自然、鮎や蛍なども知ってもらいたいです!」と話す太樹さんの姿は、この地を守るという野々村さんの姿と重なります。

「すべてはお客様の為に」

野々村家には、このような教えを受けた3人の息子さんがいます。長男の亮蔵さんは一級建築士として設計と現場監理を主に担当、次男の太樹さんは宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーとして「思いを形にしたい」と願うお客様の為に、夜昼なく奔走してます。

また、一級左官技能士の資格を持つ三男の諭さんは左官アーティストとして。三者三様の、家族ぐるみで野々村建設株式会社を守っています。そんな息子たちに現場を任せることも増え、現場で大工仕事をする機会がなくなった野々村さんは、5年前38年ぶりに道具を握り、三男の諭さんの家を建てるために本格的な大工仕事をしました。収まりを考えながら自身の手で加工し造作をする事を心から楽しんでいる様子だったそうです。

野々村さんの生きざまを肌で感じ、目の当たりにしてきた3人の息子さん達は三者三様の「トライアングルの形」で野々村さんの志を引き継ぎ、それぞれに進化させています。その姿を野々村さんは厳しく温かく見守りながら、この地をもっと良くし、守って行きたいという思いとともに、自身の仕事を全うしていく意気込みでいます。