会社を辞め、地域支援の活動へ 自分で決めた人生 地域の方と活動できることが嬉しい。/山口晋一さん

西武芸地区生まれの山口晋一さん。山口さんは小中学校の統廃合が進んでいく最中、「このまま子どもの頃の思い出がなくなってしまうのでは?」と思いました。自分の育った地域がだんだん寂しくなっていく様子を見て山口さんは動きだします。地域のおばあちゃんたちと行っている活動についてお話をお伺いしました。

故郷のために、何かしたい

山県市の北部にある地区で、農家レストラン「舟伏の里へ おんせぇよぉ~」を地域の“おばあちゃん”たちと運営している山口晋一さん。生まれ育った美山地区は市町村合併により、“山県市”となりました。小中学校の統廃合が進む中、山口さんは「このまま、子どものころの思い出がなくなってしまうのでは…」と思ったそうです。

自分が育った地域がだんだん寂れていく様子を見て、ボランティアで知り合った仲間とともに行動を起こすことを決意しました。「地元のために、何かしたい」と市役所に相談に行くと、美山地区で活躍するJA女性部の「ちゃ茶クラブ」を紹介されます。同じ市内でも初めて訪れる場所で、クラブのみなさんのやさしさや温かさにふれ、地域のことを広く知ってもらう方法を考え始めます。その後、働いていた会社を退職し、栃の実の皮むき体験や田舎料理教室、竹を使った花器作りなど、地元の特産をいかした活動に踏み出しました。

体験型事業で、さらなるステップへ

地域を知ってもらうイベントを開催しながら、山県市の集落支援員として農家レストラン「舟伏せの里へ おんせぇよぉ~」の運営にも携わることになりました。廃校となった小学校を活用してレストランにする計画でしたが、山口さんにとって飲食業は未経験。たくさんの人に来店してもらうためにはどうすればいいのか。地域のおばあちゃんの意見を聞きながらメニューを作成し、手探りで準備を進めました。

2013年に開店したレストランは金、土、日、祝日だけの営業。にもかかわらず、市内だけでなく、遠方からも多くのお客様が訪れてくれるそうです。

そして、3年間の集落支援の任期を終えた山口さんは、現在、兼任の集落支援員を行っています。2017年には、「やまがたフットパス実行委員会」の代表に就任し、地域おこし協力隊OBとともに活動に励んでいます。

もともとこの「やまがたフットパス実行委員会」は、2015年夏に「山県市を盛り上げよう」と、市民有志と集落支援員、地域おこし協力隊が集まって立ち上げた組織。主に市内での里山歩きを提供。ありのままの里山の風景を楽しみながら歩くことで、地域の自然や歴史、文化などを体験できる企画を提供してきました。

2017年11月には“山県ツアーズ”を立ち上げ、複数のサイトで案内されていた体験プログラムを集約しました。新たな体験プログラムを行いたいと考える主催者に向けて、プランニングや広報の支援を行う体制を整えています。

体験プログラムは綿密に計画され、定員も少なく設定されています。それは、参加者と地域の方々の距離が近くなるだけでなく、互いの負担を軽くすることも大切と考えているからです。

暮らす人々の笑顔を守りたい

写真撮影が好きな山口さんは、時間を見つけては地域の自然の美しさを撮影しています。「『舟伏の里へ おんせぇよぉ~』でInstagramを始めたことがきっかけだとか。レストランの存在を知ってもらうことにつながり、実際にお客様に来ていただけました」と、手ごたえを感じています。「円原(えんばら)の伏流水」を撮影したカメラマンの写真が雑誌に掲載されて有名になったことで、山県市を訪れる人もだんだん増えてきました。

しかしながら、狭い地域であることから、来訪客の多さに戸惑うこともあるそう。日常に支障が出ないように、イベント開催時は自治会長を通じて地域のみなさんに事前にお知らせし、参加者にもありのままの自然の魅力を大切にしてもらうように伝えています。

「山県市に来ていただいた方によろんでもらえること。地域で暮らす方々の笑顔をみると、とてもうれしくなります。自分で決めた人生なので言い訳をしなくてすむし、本当に楽しい」という山口さんからは、地域に対する深い愛を感じます。

悩みは今、この地域に住んでいないこと。少し離れた場所で暮らすことを気にしていますが、きっとそんなのは杞憂です。地域のみなさんは、いつも集落に寄り添う山口さんの姿を頼もしく感じているはずですから。

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