がむしゃらに仕事をして勉強させてもらったから今の「ヤマウチ」がある。/山内典明さん有限会社ヤマウチ工業所代表

約60年弱の歴史がある有限会社ヤマウチ工業所。バフ・研磨の技術を得意としていましたが、2代目の山内典明さんは、仕入れから加工、組み立てまで一貫生産をできる体制を整えました。さらにそこに「ろう付け」という付加価値も加わり、会社は規模拡大を続けます。山内さんに「ろう付け」技術からうまれた製品のお話をお伺いしました。

お客様の要望に応えたいという思いから

ヤマウチ工業所の2つの大きな特徴は「ろう付け(接合)」と「バフ研磨(磨き)」の技術です。「バフ研磨」は創業時からの技術ですが、「ろう付け」は山内典明さんが独学で学んだ技術になります。20年前の「こんなのできない?」というお客さんからの言葉が技術習得のきっかけになりました。当時、「できないとは言いたくない」という信念を持っていた山内さん。新しい技術の習得ということに好奇心もあり、試行錯誤の日々が始まりました。

ヤマウチだからこそのこだわりが新しい強みに

当時、周りで「ろう付け」技術を持っている会社はなく、溶材メーカーや数少ない書籍から学んでは試して、独自のマニュアルを作り上げていきました。このときにこだわったのが、出来上がりのきれいさ。たまたま請負った組立部品に入っていた他社のろう付け製品は、溶接の熱で黒く焦げて、見た目もあまりよくないものでした。「創業時からの『バフ研磨』では、当たり前のようにきれいな製品を仕上げていたので、自然ときれいさを求め、外観にこだわるようになりました」と山内さん。

そのこだわりがお客さんから高評価をもらい、「こんなにきれいに仕上がるなら、今まで手を出せなかった仕事もヤマウチなら作ってくれる!だから営業してくる!」と言ってもらえるようになり、今は会社の2大柱の1つに育っています。

入社後に見た現実。企業価値を上げるためには

ヤマウチ工業所は60年前に先代である父親が叔父達と始めました。山内さんは子どもの頃から、働いている姿を身近に見てきました。

しかし実際に入社してみると、朝から夜中まで働いている厳しい現実や、孫請けとして取引企業から頭ごなしに叱責されてる父親達の姿を見て、今まで想像していたものと違うことにショックを受けました。そこで何か付加価値をつけて、この状態から脱却をして企業価値を上げたいと考えるようになります。まず行ったのは、一貫生産。当時は工程ごとに別の会社に発注するのが普通でした。

ちょうど入社前にメーカーでの修業で、最終工程の組立作業を習得していた山内さんは、今度は前工程も行えるようにと加工機を購入して勉強するなど、仕入れから加工、組立まで一貫生産をできる体制を整えました。さらにそこに「ろう付け」という付加価値の技術も加わり、会社は規模拡大を続けます。入社当時6人だった社員は現在30人になり、取引企業も県外を含め40社を超え、今では企業同士として対等に付き合えるようになったと言います。

新しい出会いをつないでいく

そして3年前からオリジナル商品づくりも始めました。主力商品の水栓金具部品は基本的に部品供給(BtoB)なので、「一般の消費者が手に取れて、美観にこだわった商品。人と人をつなぐような贈り物になるものを作りたい(BtoC)」と「TSUGIKA一輪挿し」を手がけました。「ろう付け」による異種金属を「つなぐ」技術を使い、人と人を「つなぐ」商品として、また「花」を飾るものから「つなぐ」と「花」で「TSUGIKA」という商品名に決めました。

さらに今年度も新商品を開発して、商品をベースに空間提案・演出事業にも乗り出そうとしています。

最後に、「創業から60年の年月をかけて研鑽した『ろう付け』と『バフ研磨』を駆使した製品のみならず、これらを基本としたオリジナル製品の共同開発や空間演出提案などのサービスを通して、世界中の人々の暮らしとビジネスに豊かな潤いの価値を提供していきたい」と、これからのヤマウチ工業所について話してくれました。

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